米国がイランに対する新たな経済制裁を発動——「経済的追放作戦」の全貌
スコット・ベッセント財務長官が「経済的追放作戦」と称する新たなイラン制裁を発表。専門家からは実効性への疑問も上がる中、イラン側は「地震的」報復を警告している。
The Launchpad Journal
ベッセント財務長官、イランへの新制裁を発表
スコット・ベッセント米財務長官は、イランに対する新たな経済制裁の発動を正式に発表した。トランプ大統領がかねて「経済的なDデー」と表現していたこの措置は、「オペレーション・エコノミック・アウトキャスト(経済的追放作戦)」と命名されている。
ベッセント長官は「テヘランが孤立するまで、この独裁政権を支えるあらゆる経済的な生命線を断ち切ることが我々の目標だ」と述べ、イランと経済的なつながりを持ち続ける国々に対しても強く警告した。財務省の声明によれば、今回の制裁対象には、アラブ首長国連邦(UAE)、香港、中国、シンガポール、スイス、欧州など各地でイラン産石油を輸送し、イスラム革命防衛隊クッズ部隊などに収益を流す仲介業者のネットワーク、複数の企業、いわゆる「シャドーフリート」の船舶が含まれる。
ベッセント長官はフィナンシャル・タイムズ紙への寄稿の中で、イランとの取引を続ける国々は「その結果を覚悟すべきだ」と警告した。これはイラン産石油の最大の買い手として知られる中国を念頭に置いたものとみられ、同長官は先週、中国がイラン産石油の輸入量の約9割を占めてきたと批判していた。
制裁の実効性に専門家が疑問
米国はすでに半世紀近くにわたりイランに対して制裁を科しており、今年6月にも制裁逃れを支援した企業などへの追加措置が実施されたばかりだ。さらに、数か月前から続く米海軍による海上封鎖により、イランへの物資の流入は大幅に制限されている。
こうした状況の中で、新たな制裁の実効性に懐疑的な見方もある。2015年まで米国のイラン核交渉チームに参加していた元外交官アラン・エア氏は、「低いところにある果実も、中くらいの果実も、高いところにある果実も、木そのものも、すでに狙われている」と指摘し、「もはや効果的な新たな制裁は存在しない」との見解を示した。
イランは「地震的」報復を宣言
イランの新たな安全保障責任者モフセン・レザイー氏は、週末に国営テレビで行われたインタビューにおいて、トランプ政権による経済的圧力に対して「地震的な方法」で報復すると宣言した。かつてイラン革命防衛隊を率いた強硬派のレザイー氏は現在、最高指導者モジュタバ・ハメネイ師の軍事顧問を務めている。
同氏は、新たな経済制裁に協力する湾岸諸国はイランの敵とみなされ、攻撃対象になり得ると警告した。米国とイスラエルが約6か月前にイランとの戦争を開始して以降、イランはヨルダンやUAE、クウェート、サウジアラビアなど湾岸地域の米軍基地を攻撃しており、死傷者も出ている。
レザイー氏はさらに、ホルムズ海峡のオマーン側を通過するタンカーへの攻撃を強化する構えを示し、「この地域から石油の一滴たりとも出さない」と述べた。現時点ではイランによるこれらの航路への妨害は行われていないが、実施されれば石油供給にさらなる打撃を与えることになる。すでにイランによるホルムズ海峡の封鎖と戦争の影響で、湾岸地域のエネルギー輸出は史上最大規模の混乱に見舞われている。
普通のイラン市民が背負う経済的苦境
1979年のイスラム革命以来、約半世紀にわたって制裁に耐えてきたイランだが、そのしわ寄せを受けてきたのは一般市民だ。今年2月に米国とイスラエルとの戦争が始まった時点で、すでにイラン経済は二桁のインフレと通貨価値の急落に苦しんでいた。イラン政府の統計センターによれば、現在のインフレ率はほぼ90%に達している。
30歳のあるイラン人女性は、現金が手元にないため多くの市民が食料をツケで購入していると証言した。「食料品店への借金があるので、パスタを作るためのトマトペーストすら買えなかった」と彼女は語った。報復を恐れて匿名を希望した彼女は、インスリンなどの必須医薬品が多くの人にとって手が届かないほど高額になったと述べ、頻繁な停電や失業率の上昇など日常生活の困難が増していると訴えた。こうした生活苦は今年初め、街頭での抗議運動へとつながったが、政府は弾圧によって対応した。
国連がホルムズ海峡の民間貿易再開を呼びかけ
こうした状況の中、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、ホルムズ海峡を通じた物資の流通を確保するため、国連が中立的な調停役を担う用意があると表明した。この戦争は世界的な燃料供給の混乱にとどまらず、肥料などの一次産品の流通にも深刻な影響を及ぼし、価格を押し上げている。
「海上の要衝が威圧の道具として使われてはならず、世界の食料供給が紛争の巻き添えになってはならない」とグテーレス事務総長はニューヨークで語った。海峡での民間船舶の監視に国連が関与する準備はできているとしながらも、紛争当事国の合意が前提となると述べた。